カンタータプロジェクト:小沼和夫

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カンタータプロジェクト 2017

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 バッハは、現存するだけでも約200曲ものカンタータを書き残しています。その多くは交響曲の名作と同等以上の価値を秘めた音楽遺産ですが、もともとは演奏会場のために作曲された音楽ではないために、日本では非常に稀にしか演奏されていないのが実情です。これらのカンタータを、作曲された時代の響きで蘇らせ、その美しさをお伝えしたいというのが「カンタータプロジェクト」です。

 第1回は「復活への道」と題しました。それは復活祭に向かう1週間の音楽を曲目としているという意味と、以前「カンタータプロジェクト」という名称で、やはり古楽器アンサンブルと小合唱という形で2回行なった同種企画の「復活」という、二つの意味あいを意図しています。

 まだまだ手探りの部分もありますが、そういった部分が年々成熟度を高めていく過程を含めて、楽しんでお付き合いいただければ幸いです


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2017年5月22日(月)19時開演
あいれふホール
全席自由 前売3,000円,
当日3,500円
(チケットは最下段の「チケットぴあ」「ローソンチケット」のバナーからどうぞ)

J.S.バッハ:カンタータ
「天の王よ,ようこそ来ませ」
BWV182

T.L.ビクトリア:
聖週間のレスポンソリウム集より
第1,第2.第8.第18曲

J.S.バッハ:カンタータ
「キリストは死の縄目に付きたまえり」
BWV4

丸山晃子(ソプラノ),佐々木ひろ子(アルト)
江川靖志(テノール),中島敬介(バス)
カンタータプロジェクト声楽アンサンブル
カンタータプロジェクト古楽器アンサンブル(大坪由香,片田江智子,廣末真也,松隈聡子,上山文子,重松恵子,福田のぞみ)
指揮:小沼和夫

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チケット購入のご案内です

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# by TheSonicBird | 2017-04-08 15:45 | ● 演奏会情報 | Trackback | Comments(0)

歌唱の基本としてのレガート

 ルネッサンス〜バロックを中心に歌っているある合唱団を、定期的に指導しています。練習回数の半数を私が担当し、残り半数は自主的に練習しているようです。私の練習では、指揮しながら聴かせていただいたあと、開口一番によく言う言葉が「レガートで!」です。
 バロック合唱曲は、特にアーティキュレーションが命のようなところがあります。でも「レガートで!」なのです。基礎の出来上がらないままに最初からアーティキュレーションを付けて歌うか、レガートを歌えるようになってからアーティキュレーションを付けるかで、結果に雲泥の差が出るからです。

 バロックから離れて、シューベルトの「野ばら(Heidenrölein)」を例に、これを見てみましょう。

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 「野ばら」は、「私の魅力を無視出来ないでしょ?」という女の子を、「私を折って通ることなんて出来ないでしょ?」と問いかける野のバラに喩えた歌曲です。当然コケットリーに富んだ、ややコミカルなスタッカートで歌われるのが常です。

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 しかし最初からスタッカートの短さを定めてしまい、声の「ON・OFF」で歌うならば、歌唱は聴くに耐えない、無骨なものになってしまうでしょう。

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 この状態で子音を強調すれば、もっと悲惨なことになります。

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 スタッカートは音価の終了とともに音がなくなるのではなく、表情のある余韻が付いていてほしいものです。

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 そして子音は音符にアクセントなどの影響を与えずに、歌詞の内容を際立たせてほしいと思います。

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 そのためにはまず「しっかりとしたレガートが歌える必要」があるのです。

 レガートは普通「音符と音符とを滑らかにつなげる」と言われます。しかし実はそれだけでは充分ではありません。突き詰めて考えるならば、レガートとは「複数音符を1音符のように歌うこと」です。
 この状態をイメージしやすいのは、「野ばら」では最初の小節です。まずは最初の小節の同音連打の4音符を、同じ音価の1音符に置き換えてみます。これに歌詞として、最初の単語「Sah」の母音成分「ah」だけを割り振ります。

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 次に元の音価に従って「母音だけが移り変わる1音符」をイメージします。これを実際に歌うときには、母音の変わり目は「u-o-a-e-i」などの発声練習でやるように、あごの動きを出来るだけ用いず、いつ変わった分からないように滑らかに移り変わらせます。

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 音程の動きのある部分も「ピッチが移り変わる1音符」をイメージするならば、完全なレガートが出来上がります。

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 ここまでは完全なレガートです。これに子音を差し挟んでいくのですが、これが日本人にとっては大変な難関です。このときに気を付けなければならないことは、まず「子音と母音との分離」です。日本語では子音と母音とは一体になっています。ですから子音を際立たせようとすると母音部分にも影響が及び、音節そのものにアクセントが付いてしまいます。けれども多くのヨーロッパ言語では、子音の発音が終わった後に母音の発音が始まります。つまり母音に影響を与えずに、子音を際立たせることが出来るのです。

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 そしてもう1つ重要な要素は、子音の位置です。音節頭の子音は、原則として音符の直前に出します。そして音節末尾の子音は音価の最後(ただし次の音節頭の子音とぶつからない程度)に置きます。

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 こういった原則に基づいて母音の直前に子音を挟み込んでいきます。すると滑らかな音のつながりはほとんど影響を受けないままに、子音がはっきりと聴き取れるレガートが出来上がります。

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 この状態を基本として、これに対してより子音を際立たせたり、声楽上のテクニックでアタックを強めたり、減衰をコントロールしたりしたものが、本来のアーティキュレーションです。決して最初から「ブツ切れ」で歌うのがアーティキュレーションではないのです。

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 この方法での子音の処理方法は応用が可能です。メッサ・ディ・ヴォーチェを歌う際、歌い始めはどうしても弱い声になります。すると子音が聴こえ辛くなり、歌詞も聴き取りにくくなります。ところが子音だけを分離して発音していれば、弱い歌い出しでもしっかりと歌詞を響かせることが出来ます。

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# by TheSonicBird | 2017-04-08 15:44 | ● ピリオド奏法 | Trackback | Comments(0)

カンタータプロジェクト2017広告

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カンタータプロジェクト2017「復活への道」の広告が福岡EU協会会報誌に掲載されます。チラシも今後いくつかの演奏会で配布予定です。是非ご覧ください。

尚、チケット取扱いの「文化芸術情報館アートリエ」は、4月3日から福岡県消防会館に移転の予定で、移転に伴って3月27日から4月2日まで取扱いを休止するとのことです。移転作業の遅延などもあり得ますので、チケット購入をご希望の方は電話(092-281-0081)にてご確認ください。

ゲラ刷り確認・校正が終わって数日後にアートリエ移転の連絡が入ったのですが、大急ぎでEU協会に電話したところ、文化芸術情報館アートリエの現在地「(リバレイン7F)」を削除していただけるとのことです。助かりました。


 
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# by TheSonicBird | 2017-03-10 15:06 | ● 演奏会情報 | Trackback | Comments(0)

アウフタクトと接頭辞

カンタータプロジェクト次回練習の目玉は、第182番の終曲中間部です。ダ・カーボ合唱曲の中間部が異様に美しいという異色の作品です。

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この美しい中間部を演奏する際に気を付けていだたきたいのは発音、特に子音の位置です。前回の練習でも子音に関する質問が出ていました。音符と歌詞との関係は次の楽譜のとおりです。旋律は先に進むに従って変形していきますが、リズムと歌詞の関係は変わりません。

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この旋律をどのようなアーティキュレーションで歌いたいかというと、次の譜例のようになります(楽器のアンサンブルはやや異なったアーティキュレーションで演奏します)。

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問題の単語は "voran"です。"vor"という接頭辞と"an"で出来ている単語です。接頭辞と後続音節は、通常はアウフタクトと強拍の関係にあります。やや跳ねるようにアウフタクトから強拍に向かっていくのです。

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ところが後続音節の頭が母音の場合、接頭辞の最後の子音は、後続音節の頭の母音と融合して発音されます。"hinein"、"herein" が、"hin-ein"、"her-ein"ではなく、"hi-nein"、"he-rein"と発音されるようにです。"voran"も同じように、"vor-an"ではなく、"vo-ran"と発音されます(楽譜には単語の構造に従って、前者の区切りで書かれます)。これを単純に歌えばレガートになってしまいます。それではアクセントの位置がずれて、シンコペーションになってしまいます。

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そこで次のような注意が必要になります。まず"r"の位置は、次の拍のぎりぎり直前です。音節末の子音は基本的にそうですが、それ以上に次の母音の前打音的なイメージを持ってください。

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けれども"vo"はそこまで音を保っているのではなく、"r"を発音する時点では減衰し切って、ほとんど消えかけています。
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難しいのは"an"がメッサ・ディ・ヴォーチェ(※)で歌われることです。"a"は薄く、柔らかく立ち上がるので、"r-an"ではなく、"ran"と聴かせるのが難しいのです。かと言って"r"が次の第1拍に来てしまっては日本語に聴こえてしまいます。充分な練習でコツを掴むことが必要でしょう。
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"voran"の"an"の部分は常にハモる部分でもあり、ピッチに関しても充分な注意を払い、きれいなメッサ・ディ・ヴォーチェを聴かせてください。
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※)メッサ・ディ・ヴォーチェ(messa di voce)
メッサ・ディ・ヴォーチェは、厳密には強弱表現ではなく、18世紀イタリアの声楽トレーニング技法を指す用語です。フェルセットから実声に至り、再びファルセットに戻るというものがそれです。ただしメッサ・ディ・ヴォーチェとは名付けられていないものの、同様の強弱法がより古い時代の声楽技法(Giulio Caccini,Christoph Bernhard - ただしカッチーニは「よく聴かれるが好きではない」と記述している)に「p - f - p」などと記されています。またこれらの強弱法は、器楽演奏にも移植されています。そこで広義には圧迫感を伴わない、音符内での滑らかな弱強弱移行と考えてよいでしょう。
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# by TheSonicBird | 2017-03-10 03:37 | ● ピリオド奏法 | Trackback | Comments(0)

カンタータプロジェクト2017

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# by TheSonicBird | 2016-11-06 21:36 | ● 演奏会情報 | Trackback | Comments(0)

現代から遡って過去の作品に至るのではなく、ルネッサンスから下って来てバロックや古典に至る。それが私の視点です。そのために自分の感性や人格を改造し続けています。その過程に共感していただければ幸いです。


by TheSonicBird
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